カスタマーサクセスのもうひとつの重要な役割

プロダクトの導入から顧客に価値を体験してもらうまでの期間、いわゆるオンボーディングフェーズにおけるカスタマーサクセスの重要度は非常に高い。人の介さないTech Touch単体でオンボードできるに越したことはないが、顧客によってリテラシー、モチベーション、業務における優先順位が異なるため、価値を感じてもらうまでの期間に人的伴走が求められるケースは多い。

一方でカスタマーサクセスは顧客の要望を開発側へフィードバックするという重要な役割も担っている。社内の誰よりも顧客の近くにいる存在のため、顧客が当初抱いていた要望・期待とプロダクト提供価値のFIT&GAPについて、直接声を聞くことができる。

当初仮説と「実際」を比較できるのはプロダクトオーナー

特に初期フェーズのプロダクトにとって、プロダクトオーナー自らカスタマーサクセスを担当することは非常に重要なのではないかと考えている。プロダクトオーナー、多くの場合起業家が参入する市場を定義し、顧客の課題をソリューションに落とし込み、プロセスとプロダクトを磨き続ける。

プロダクトの青写真を持ちつつも、実現したいことの一部しかまだ提供できていない限定された機能の状態でプロダクトを活用してもらう。そのような初期フェーズにおいては顧客からのフィードバックが何より重要となる(もちろん、要望をそのまま聞き入れるというわけでなく当初考えていた仮説とプロダクト機能開発の順番が正しかったのかという点で)。

正しく顧客の課題を認識できていると自負はあっても、実際の現場の運用と照らし合わせると、顧客課題と解決手段である機能との差異は少しずつ出てくる。開発前のヒアリングだけでは出てこない、導入フェーズになって初めて見えてくる事実も多い。自らソリューションの企画をしたプロダクトオーナーだからこそ当初の仮説と顧客の反応を比較することで、開発チームへのフィードバックと正しい開発の優先順位付けができる。

プロダクトオーナーは多忙だ。プロダクトを通じたKPI達成の責任を負い、スキルセットや業務としての守備範囲の広さも求められる。やらなければいけないことは無限に思いつくのだけれど、自ら顧客のインターフェースとなりカスタマーサクセスを担うことが遠回りに見えて、結果的にプロダクトの成長スピードに繋がるのでははないかと考えている。