カスタマーサクセスの経験者採用に苦労しているチームは依然として多い。(以前書いた求職者の目線でのCS職の選び方はこちら)。日本国内はCSチームの組成から日が浅い会社が多く、転職市場に人材がほぼいないため、経験者採用が回り始めるまで一定の時間が掛かりそうだ。

一方で、「カスタマーサクセス」の経験者は採用できないが、新任カスタマーサクセス担当として『自分たちのプロダクトで求められる経験』をしたことのある人であれば採用できる余地は大きいと考えている。

カスタマーサクセスに必要な業務を分解しよう

「カスタマーサクセス経験者」と一言でいっても、プロダクトの種類や向き合う顧客の業種・職種・職位によって求められる経験は大きく異なる。まずは、自分たちのプロダクトにおけるカスタマーサクセス業務を書き出すことから始めてみよう。その際、オンボーディング/定着後/契約更新前など顧客のライフサイクル別と向き合う顧客ごとの整理がわかりやすいのでおすすめだ。

マーケティングオートメーションツールを例にあげる。ここではカスタマーサクセス担当は顧客とハイタッチ/ミッドタッチ中心のコミュニケーションを行うことを想定している。

オンボーディング:
ライフサイクルのゴール:現場担当がスムーズに使い始められること
向き合う顧客:現場の運用担当、顧客のエンジニアリングチーム
CSの主業務:マスタデータの整備、システム連携支援、KPIの設定支援、活用トレーニング
必要な能力:
営業から案件を引き継ぎ、顧客との窓口となるため、顧客から信頼を得られる振る舞いや一定レベル以上のマーケティングやシステム関連の知識・経験が求められる。システム連携のサポートや顧客へのトレーニングを行うため、SIer等で経験を積んだ元PMなどがフィットする可能性が高い。

運用フェーズ:
ライフサイクルのゴール:安定的な活用/アカウントの拡大
向き合う顧客:現場の運用担当
CSの主業務:活用のモニタリング及び活用提案
必要な能力:
プロダクトを活用し、顧客が成果を上げることにコミットする必要がある。プロダクトの活用事例についてはもちろんのこと、マーケティング業務における深いレベルでの知識・経験を有している方が顧客の目的達成を支援できる可能性が高い。そのため、元マーケターを採用できると運用フェーズでの顧客ロイヤルティは高くなるはずだ。

契約更新前:
ライフサイクルのゴール:契約更新/上位プランへの変更
向き合う顧客:現場の運用担当、契約更新意思決定を行う役員
CSの主業務:契約更新提案
必要な能力:
契約更新前は顧客の決済者に対し更新提案を行う営業的な素養が求められる。プロダクトの導入価値を定量/定性で説明し、以降の契約が顧客にとって価値のあるものであると説明できるためには、元コンサルやエグゼクティブ向けの営業経験がある人物の採用が望ましい。

あくまで一例だが、上記のような整理ができると、それぞれで求められるスキル・経験を持つ人物を採用するために必要な情報が見えてくるはずだ。

カスタマーサクセスの魅力を訴求しよう

ターゲットがある程度決まれば、あとは、その人が仕事に魅力を持ってくれるであろう点を求人票に記載しよう。採用ターゲットが現状不満に感じていそうなポイントを仮説として列挙し、自分たちはどのようにその意欲に沿うことができるのか。

経験を重ねるほど、仕事を通じて人や社会の役に立ちたいと思うようになる。カスタマーサクセスはその名の通り、顧客の成功にコミットできる素晴らしい仕事であるはずだ。「カスタマーサクセス業務」といった粗いくくりではなく、業務を分解し、求める経験や能力を丁寧に記載してあげることでお互いのギャップを減らすことができる。カスタマーサクセスのスタート地点は「正しい顧客に売ること」である。きっと採用にもその多くが通じるはずだ。