困難な状況を乗り越えるためSaaS企業が取り組むべきこと



4月10日、『困難な状況を乗り越えるためにSaaS企業が取り組むべきこと』と題したオンラインセミナーを開催しました。

新型コロナウィルスが私たちのビジネスにも影響を与え始めている状況下で、どの様な打ち手を打てば良いのか。シードからグロースステージまで様々なSaaS企業に投資をしているALL STAR SAAS FUNDの前田ヒロ氏(@djtokyo)をお招きし、HiCustomer鈴木(@dkzks)と共に、今後私たちが取るべきアクションについて議論しました。

SaaSの成長は、リーマンショック時も止まらなかった

2008−2009年にかけてのリーマンショックにより、上場SaaSの年度成長率がリーマンショック前の40%程度から平均して10%ほど下がったと、前田氏は解説しました。

「当時のSaaS全体では、リーマンショックの影響を受けながらも売上が減少するところはほぼなく、何らかの成長をし続けることができていました。

例えばEcoSign(現AdobeSign)では、SMBの解約率が2倍になった一方エンタープライズの解約率はほぼ変わらず、アップセルも減速はしていたものの継続して発生していました。また獲得リード数もチャネルにより変動はありながらも、全体では横ばいでの推移でした。

しかし今回のコロナショックはリーマンショックとは毛色が違います。影響範囲がリーマンショックと異なり平等ではありません。またオフラインからオンラインへの環境移行が必須になっています。」(前田氏)

ダイナミックな計画でコロナショックをコロナチャンスへ変える

自社も顧客も環境が変わっている中で、カスタマーサクセスを強化すること、またダイナミックな事業計画を立てることが重要だと前田氏は語ります。
「顧客の業種業界により影響範囲が異なるため、顧客セグメント毎の状況を把握し、リスクの高低を細かめに分析することが必要です。その上で個別の顧客毎にサクセスアクションを固めます。利用率が低ければ高めるためのアクション、オンボーディング の巻き返し施策、更新のための準備など、各社にCSMをアサインし個別に検討すべきです。

事業計画においては、シナリオA、B、Cに対して最低でも18ヶ月以上のランウェイを確保することを投資先には推奨しています。当初はあまり楽観視せずに、計画対比をみながら想定シナリオを切り替えていくべきです。

また、状況に応じてダイナミックに経営方針・施策を動かしていくために、社内のコミュニケーション・コラボレーションを活性化させる必要があります。リモートに切り替えていく中で、隠れていた組織や事業の課題が表に出てくることが多いですが、これを払拭し解決していくことでより強い組織になり、景気が戻った時により良い会社になるチャンスだと考えています。」(前田氏)

コロナ禍でカスタマーサクセスが取り組むべきこと

HiCustomer鈴木は、この環境下でカスタマーサクセスが取り組むべき4つのポイントを、こう解説しました。

  1. 顧客を支援できる情報収集&発信
  2. 顧客救済のポリシーを決める
  3. オンボーディングリソースの再分配
  4. 契約更新戦略の見直し

「顧客支援の観点では、日本より先に影響が出ていたアメリカのSaaSスタートアップの例を参考にするとよいでしょう。
例えば飲食店向けPOSを提供しているtoastでは、COVIT-19の特設ページを開設し従業員向けのサポートや店舗の消毒方法などのナレッジを提供しています。またEC事業者向けのマーケティングオートメーションツールを提供するKLAVIYOは、サービスサイト上のポップアップでEC事業者/購入者双方へのサーベイを実施しており、その結果を毎日コンテンツとして提供しています。

またCOVIT-19の影響を受けている事業者に対し、契約期間の延長や利用料の減免、ダウングレード対応などの救済ポリシーを予め準備するすることが重要です。契約を0リセットし再度新規で契約を獲得するより、契約関係を維持しビジネスが復調した際に利用料金を復活させたり値引きを戻すほうが、コストを低く売上を戻すことが可能です。」(鈴木)

カスタマーサクセスは顧客の収益を守るパートナーである

顧客オンボーディング においては、対面でのアプローチが不可能となったため、顧客自身でプロダクト理解するためのコンテンツ制作に時間を割く動きが増加したと、鈴木は語ります。
「ヘルプコンテンツやトレーニング動画の準備を進める企業が多いです。
重要なのは、この環境下でサービス導入に対する顧客の優先順位も下がっているケースが多いため、1日でも早くサービスを利用して顧客が利益を享受できるよう、プロセスを短縮したり密度を上げるためのやり方を見つけることです。

契約更新においても利用率が低いサービスの更新可能性はグッと低くなります。特に高ACVサービスでは、サービス導入で実現したかったこと、導入の成果、今後のロードマップを含めた成果レビューが必要になるでしょう。更新までのハードルが増えているため、どう打ち返すのか対応方針のプレイブックを整備したり、更新のための再稟議を通すためのコンテンツを用意しておきべきです。」(鈴木)

最後に、鈴木はこう締めくくりました。
「私たちだけではなく、顧客もこの状況に戸惑っています。顧客が必要としている情報を提供する、自分たちのサービスが1日でも早く役立てる様プロセスを磨いていくことが、今のカスタマーサクセスに一番重要なことです。カスタマーサクセスは既存顧客の収益を守り、共に成長していくパートナーなのです。」(鈴木)

激動の環境においては、今までの正攻法は正攻法足り得ません。顧客と顧客を取り巻く課題の解像度を高め、あらゆる手段で顧客に共に未来を切り拓いていくことが求められます。私たちのカスタマーサクセスの真価が問われているのかもしれません。


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ABOUTこの記事をかいた人

2008年に株式会社インテリジェンス(現パーソルプロセス&テクノロジー株式会社)入社。ITアウトソーソング部門にて複数のプロジェクトを経験後、マネジャーに着任。2017年からは新規事業開発部門にて、自社開発サービスの営業・カスタマーサクセスに従事。2018年に、自社カスタマーサクセス/カスタマーサクセスアウトソーシングサービスの立ち上げを実施。 2019年4月よりHiCustomer株式会社にて、セールス/マーケティングを担当。