カスタマーサクセスチームは、上昇傾向にあるチャーンレート(解約率)に歯止めをかけるミッションを負うケース多い。同じチャーンでもプロダクトの特性や経営管理の視点によってモニタリングすべき指標は異なる。ここではカスタマーサクセスのメトリクスで基本となるチャーンレートの種類をわかりやすく伝える。

Customer Churn Rate

Customer Churn Rate :
当月失った顧客数 / 先月末時点での顧客数
例)1月末時点に1,000社いたが、2月に30社解約したとすると、Customer Churn Rateは3%となる。

Customer Churn Rateは一般的な「解約率」と呼ばれるもので、解約してしまった顧客の「数」から割り出す指標。日々行うプロダクトへの機能追加や改善、または顧客とのコミュニケーションが解約の抑制に寄与しているのか、そのモニタリングを行うために設定する。

MRR Churn Rate

MRR Churn Rate :
当月失ったMRR / 先月末時点でのMRR
例)1月末時点に1,000万円の売上があり、2月に解約で25万円分の売上を失うとすると、2月のMRR Churnは2.5%

MRR Churn Rateは解約により生じた「売上」の機会損失を割り出す指標。アップセル要素を除き、本来得られるはずだった売上をどの程度失ってしまったのかをモニタリングする。比較的高単価なプロダクトの場合は1社を失うことのインパクトが多いため、MRR Churn Rateを主要なKPIとして定めているところが多い。

Net MRR Churn Rate

Net MRR Churn Rate :
(当月失ったMRR ー アップセル分のMRR ー 休眠顧客からの復活MRR) / 先月末時点でのMRR

例)1月待つ時点で1,000万円の売上があり、2月に解約で25万円分の売上を失った。しかし、既存顧客からのアップセルで20万円上澄みし、休眠顧客がまたサービスを使い始めたのでさらに10万円上澄みできたとすると、2月のNet MRR Churnはー0.5%となる。

ちなみに、この数値がマイナスの状態はNegative Churnという。新規の顧客を獲得せず既存顧客からの売上だけで事業が成長している状態を指す。

事業によって最適なKPIの設定を

例えば営業組織で「受注件数」をKPIと置くのか、「売上高」に置くのかでチームや個人の動き方が変わり、結果的に業績に大きな影響を及ぼすことはイメージできるはずだ。カスタマーサクセスもそれと同様である。

シンプルな料金プランで顧客の数を取りに行くプロダクトの場合はCustomer Churn Rate、ライセンスや容量などによる従量課金が発生するプロダクトはNet MRR Churnを見るといったように、事業に適切なKPIマネジメントができるかどうかでLTVに大きな差が生まれるだろう。

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