カスタマーサクセスのKPI運用を阻む3つの罠とは


カスタマーサクセスのKPI運用を阻む3つの罠とは

みなさんのカスタマーサクセスチームでは、どんな目標を持って日々の活動を行っていますでしょうか? 今日は、カスタマーサクセスチームのKPIを設定したり、運用をはじめるにあたって、注意しておきたいことについて一緒に考えていきましょう。

以前、弊社HiCustomerにてカスタマーサクセス部門がもつミッションについてアンケート調査をしたところ、7割以上のカスタマーサクセスマネージャーが「チャーンレートの改善」または「契約継続率の向上」との回答を得ました。多くのカスタマーサクセスチームでは、契約更新を目標にしているようですね。

あらためて、KPIって何だっけ?

それではここで、目標とKPIの関係について整理をしてみましょう。

ご存じの通り、KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標などと訳されたりします。業績達成のためにみていく指標のことですね。ここでもう一つ、KGIというキーワードをご紹介します。KGIとはKey Goal Indicatorの略で、重要目標達成指標と訳されます。目標の達成度合いを数値化にしたものが、KGIというわけです。

カスタマーサクセスにおけるKPIとKGI

そして、KGIはKPIに分解していく必要があります。KGIはあくまで最終目標を数値化したものであり、そのまま日々の活動に活かすことが難しいからです。そのため、KGIを達成するためにKPIを複数設定し、それぞれのKPIを達成することで、KGIを達成していくことになります。そして、KPIを達成がKGIの達成につながっているかを定期的に確認しながらより運用がしやすいKPIへと改善を続けていきます。

カスタマーサクセスのKPI~陥りやすい3つの罠~

さて、カスタマーサクセスのKPIへと話を進めましょう。みなさんのチームでも試行錯誤しながらKPI設定をされていらっしゃるかと思いますが難しい点もあるのではないでしょうか。ここでは、KPIを考える上で陥りやすいポイントを3つにまとめてみました。

●罠1 アクションに落ちない指標を使う

例えば、チームの目標がチャーンレートの改善だからといって、チャーンレート自体をKPIにしてしまうとどんなことが起こるでしょうか?日々の活動の結果がわかるタイミングは契約更新期の1年後なんてケースもあったりします。これではアクションを起こしても指標に反映されません。実施したアクションの内容がよかったのか、または改善が必要かどうかの判断をすることができなくなってしまうのです。

日々のアクションはいずれかのKPIの改善を目指しておこなっていきます。そのため、アクションを起こしたときに指標の変化が確認できるKPIを設定することが望ましいのです。

●罠2 よくある指標をそのまま使う

自社のプロダクトやサービスの事情を加味せずに「データがあるから」「他社がそうしているから」と言った理由でKPIを決めるべきではありません。例えば、以下の指標はよく使われるKPIです。

・製品利用率
・アンケートの調査結果
・意思決定者との接触回数

確かにいずれの指標も高ければ高いほど、契約を継続し続けてくれそうにも思えます。しかし、本当にそう言い切れますでしょうか? 私は以下のようなケースを見聞きしたことがあります(以下はいくつかの事例を組み合わせて表現しています)。

製品利用率:
毎年プロダクトの利用量が増えており、順調に利用の定着化が進んでいると考えられたカスタマーの契約が、突如解約になってしまいました。従量課金による契約額が伸びてきたことにより「価値は変わらないのに高くなり見合わない」との判断によるものでした。

アンケートの調査結果:
定期的に行われていたアンケートでは「問題はない」と必ず良い点をつけてくれていたカスタマーのケースでも突如解約に。話をうかがってみると、忙しくなってプロダクトを使うことができなくなってしまったとのこと。プロダクトの利用履歴を調べてみると、確かに最近は使っていないことがわかりました。

意思決定者との接触回数:
「カスタマーとの接点を持つ回数が多いほど、サービスをより使ってくれるようになるために契約継続率が高くなるのではないか」との仮説を持ち分析したところ、「接点が多いほど解約率が高い」と想定の逆の分析結果になってしまいました。さらに調べてみたところ、カスタマーから解約の可能性を示唆された担当者が足しげく通って挽回しようと試みたものの間に合わず解約になってしまったケースが多いことがわかりました。

いかがでしょうか?これらの例からもわかるとおり、ただ単純によくある指標をそのまま自社の指標として使うと誤った判断をしてしまうかもしれないのです。

●罠3 検証せずに同じ指標を使い続ける

一度KPIを定めるたあと、充分な検証をしないまま運用を続けてしまうことがあります。しかし、KPIとは生き物です。継続的な改善をすることが必要です。

KGI向上に役立たないKPIを設定している:
例えば、特殊なある機能を使ってくれているカスタマーは契約継続しやすいということがわかり、その機能の利用率をKPIにしたとします。しかし、その機能を使っていないカスタマーを使うように誘導したからといって、契約継続率があがるとは限りません。

なぜなら、継続してくれたカスタマーはある機能をつかったから契約継続したのではなく、それらのカスタマーは最初からその機能を目的に買っていただけという可能性があるからです。この場合、他のカスタマーにはその機能は不要なものであり、使ってもらえるよう紹介しても継続には結びつかないでしょう。

こういった失敗をしないよう、KPIの運用をはじめたら、KPIが変化するとそれに応じてKGIも変化しているかを確認していく必要があります。

実態にあわないKPIを追いかけ続ける:
KPIに分解すると、アクションを起こしたときにKGIに反映しやすいものとしにくいものに分かれていきます。反映されづらいKPIはだんだんと運用されなくなり、形骸化してきます。KPIの運用の目的はあくまでもKGIの達成です。より運用しやすいKPIへと変更していく必要があるのです。

まとめると、カスタマーサクセスにおけるKPI設定でポイントとなるのは、以下のような点となります。

・自社のカスタマーがサクセスできるKPIを見つける
・KPIの変化に応じてとるべきアクションを定義する
・アクションが、KGIに影響を与えていることを検証し続ける

そして、特にカスタマーにサクセスしていただくためのアクションに結びつけるために、どんな指標を作っていくとよいのでしょうか。

自動車の「給油ランプ」をめざそう

運転する方であれば必ず見たことがあるこのマーク、ご存じですよね。そう「給油ランプ」です。

カスタマーサクセスの給油ランプとは

この給油ランプ、とても優秀なんです。

一目でわかる:
ランプが消灯していれば「気にせずOK」。点灯していれば「対応の必要あり」。とてもわかりやすいですね。

アクションが決まっている:
給油ランプが点灯したら、みなさんはどんなアクションをとりますか? そう、ガソリンを給油するために、ガソリンスタンドに入りますね。事前にアクション内容が決まっているため、迷うことがありません。

解決できたこともわかる:
給油が終わったら、給油ランプは消灯します。アクションが正しく行われ、問題が解決したことがわかります。

こういった「アクションを促すこと」を軸に指標を作ることができれば、「ランプの点灯」にあわせてカスタマーに対してアクションを行うことができるようになるので、日々のカスタマーサクセス活動もしやすくなるのではないでしょうか。

というわけで次回は、カスタマーサクセスにおいてアクションがしやすくなるための指標作りについて考えていきたいと思います。

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カスタマーサクセスのKPI運用を阻む3つの罠とは

ABOUTこの記事をかいた人

カスタマーサクセス管理支援ツール「HiCustormer」のカスタマーサクセス担当として、2018年7月にHiCustomer株式会社にジョイン。当面の目標は、オフィスのトレーニングマシンで懸垂ができるようになること。